野田英夫とその仲間たち展

野田英夫作品

  1908年7月、野田英夫は熊本県出身のアメリカ移民の子として生まれました。3歳の時に故郷熊本の親戚に預けられ、18歳の時に単身再渡米した彼は、国吉康夫、寺田竹雄、多毛津忠蔵ら日系画家と交流を深め、精力的な制作活動を展開します。1930年代の経済恐慌に見舞われたアメリカの、都会で生きる庶民の生活を、優しく哀愁あふれるタッチで描いた作品は、<アメリカン・シーン>の絵画と呼ばれ、その才能をアメリカ画壇で認められました。また、メキシコの壁画家ディエゴ・リベラに強い影響を受け、ベン・シャーンらとともにリベラのロックフェラーセンター壁画制作の助手も務めた彼は、壁画家としても活躍します。
日本においては1934年の帰国時に開いた初の個展が絶賛され、1936年に小磯良平、石川滋彦、脇田和ら新進若手作家たちによって発足した新制作派協会に加わり、母国日本での作家活動に強い意欲を持ちます。
日米両画壇で広くその名を知られるようになった彼は、1938年日本での2回目の個展を開催するため帰国します。これは彼の最後の個展となり、同年8月にルース婦人を伴い、石川滋彦、脇田和らと行った長野県野尻湖畔への避暑旅行中に発病し、1939年1月に30歳の若さで他界してしまいます。野尻湖畔の民宿で視力を失いながら描いた「野尻の花」は、彼の絶筆となります。
 本展覧会は、野田英夫の生誕100年を記念し、彼の画業をしのび、より多くの人に知っていただきたく企画したものです。野田英夫作品約27点をはじめ、同時代にともに活躍した作家の作品や資料を展示いたします。

野田英夫作品

【主催】みぞえ画廊 【企画協力】ギャラリー松庵
【後援】西日本新聞社、NHK福岡放送局
【協力】東京国立近代美術館、熊本県立美術館、横浜美術館、不知火美術館、府中市美術館、大川美術館



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